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一歩も二歩も。

2005.09.24(SAT)
2005 J-LEAGUE DIVISION-1 25th LEG
vs JEF UNITED CHIBA
1-2 LOSE
at ICHIHARA RINKAI ATHLETIC STADIUM(ICHIHARA)


 結果も内容も惜しかったのかもしれないが、そのわずかな見える差が大きな差である。相手は一歩も二歩も先を行っていた。まだまだこれから、 この差を埋める努力がかなり必要である事を痛感させられた。

 台風が近づき、強風と雨という悪天候の中で始まった試合、風下に立った清水はいきなり決定的なピンチに襲われる。1分、千葉からのロングボ ールを清水守備陣が目測を誤り裏に抜け出した千葉FW林へ、林はGK西部と1対1からシュート、これを西部がファインセーブで防ぐ。更にその後も千 葉FW林の裏を狙ったプレーに度々ピンチに遭うが西部が抜群の反射神経でゴールを守る。清水も序盤は両サイドが深い位置に押し込まれていたが、 ジェジンやマルキーニョスのポストプレーから次第に清水も千葉に走り負ける事なく、兵働や圭輔の両サイドが相手の裏をついて上がりチャンスを 作る。32分には兵働が中央に入ってから右サイドのイチへパス、イチは素早くゴール中央に走りこむジェジンにアーリークロス、これにジェジンが 相手DFと競り合いながらもヘッド、これが豪快にゴールネットを揺らして清水が先制する。しかし、このリードは長くはなかった。39分、千葉は左 CKのチャンス、これを清水がクリアするがその際に千葉FW巻を俊秀とイチが倒してしまいPKの判定、普段から不安定なSR西村主審の微妙な判定にゴ ール裏は騒然となる中、千葉MF阿部がこのPKを決めて同点に追いつかれて前半を終了する。
 後半に入って立て直したい清水だがアクシデントが重なる。後半入ってわずかの48分、浩太がノボリと交替。それでもノボリが中央で起点となっ てパスを散らして両サイドからチャンスを作り清水ペースが続く。56分にはイチとノボリのワンツーから抜け出したイチがマルキーニョスに決定的 なパス、しかしマルキーニョスが一瞬シュートが遅れたところに千葉DFストヤノフのブロックに遭ってしまう。清水は更に70分には圭輔を下げて純 平を投入し、攻めるのだがこの純平に今度はアクシデントが起きる。83分に久保山を慌てて投入するが、本来のポジションとは違う久保山の起用で チームのバランスは崩れていく。時間が経つにつれてフレッシュな選手を投入した千葉の運動量に負けてしまう。そしてロスタイム突入寸前の89分、 清水は左CKのチャンスを得るも千葉がハンドとも取れる怪しい形でクリアするが主審は笛を吹かず。ここからボールを繋がれてカウンターを許し、 途中出場の千葉MF水野がボールを持って一気にPKエリア付近まで上がると清水DF陣を引き付けてから右サイドを上がってきた同じく途中交替のMF要 田へパス、要田はファアサイドにフリーで待ち構える千葉FW巻にグラウンダーのラストパス、巻はがら空きのゴールマウスにボールを押し込みゴー ル。これが決勝点、残されたロスタイムに清水が反撃する力は残っていなかった。

 確かに序盤のピンチを切り抜けた後は千葉の両サイドの裏をよくついて互角の闘いをしていた。イチも久々のアシスト、ジェジンも久々のゴール と明るい要素はある。だが、それでも勝っていない。最後の最後になって大きな運動量の差というものを見せ付けられてしまった。ここぞという時 の運動量、ここぞという時のスペースへの飛び出し、千葉はそのやりたい事の一歩も二歩も先を進んでいる。誰もが苦しい時間帯に頑張れるだけの スタミナとチーム全体の連携と共通意識が清水はまだまだなのだろう。確かに西村主審の微妙な判定もあったがそれ以上に千葉は清水のやりたいサ ッカーの一歩も二歩も先を行っていた。最後の失点も必然だったのかもしれない。今よりもっとハードな練習で今の差を詰めていきやがて彼らに走 り勝つサッカーを清水は目指して欲しい。
 皮肉にもこれから経験を積む指揮官と百戦錬磨の指揮官の経験の差というものも出てしまった。あまりにも早い時間に投入せざるを得なくなった 交替、投入した選手が予想外のタイミングで負傷した事による交替、そして駒不足を露呈した清水に対して、投入した選手の活躍で決勝点をもぎ取 った千葉。健太も確かに経験は無いしこれからなのだろう。だが、今後は当然勝ちに行かなくてはならない試合もある。そんな時に何かスピードに 秀でたり、技術に秀でる選手など一芸に秀でた選手の起用というものが必要になってくるように感じる。申し訳ないがこの日のサブメンバーに流れ を一気に変えれるような選手はいなかった。これからもっとチーム内での公平な競争を活発にして少しでも何かに秀でた選手の抜擢を望みたい。
 守備陣も最後の踏ん張りどころで頑張る事が出来なくなってきている。シーズン当初のような堅い守備の復活にはDF陣だけでなくチーム全体にも っと相手に強く当たりに行く事も時には必要だろう。3試合の出場停止明けのDF森岡もこの試合からベンチ入りした。サポーターからは待ちに待った 復活に背番号の「11」ゲーフラを掲げるなど、誰もが彼の復活に期待しているし、そうする事で今以上にDF陣も競争が始まり、それがいい方向に進 んでいくと信じている。

 サポーターもこの悪天候の中、ホームの千葉と同じくらいの人数が駆けつけていた。なかなか結果が出ていない現実もあるけど、ここで選手と共 に我々も試されているんだと思う。本当は強いはず、こんなもんじゃないとか、主審がしっかりしてればPKだったはずなのになどなど、「はず」と か「のに」って言ってるうちは成長できないもの。この現実に目を背けず前向きにサポートしていくしかない。次の相手は首位G大阪、だが場所は我 らの庭であり聖地である日本平、ここ2試合の日本平は本当にいい雰囲気が作れていると思う。この選手とサポーターが作り出す雰囲気で全国的にも 注目を浴びるこの一戦、世間をあっと言わせてやろうじゃないか。



goleador。

2005.09.18(SUN)
2005 J-LEAGUE DIVISION-1 24th LEG
vs ALBIREX NIIGATA
2-1 WIN
at NIHONDAIRA STADIUM(SHIMIZU)


 絶対に負けられないという気持ちがスタジアムに充満していた。選手とサポーターが作り上げたこの空間にgoleadorが降臨した。

 試合は序盤から清水が攻勢に出る。右サイドに久々に起用された圭輔が積極的に相手に勝負を挑みチャンスを作り、中盤ではテルが豊富な運動量で 相手の攻撃の芽を次々に摘み取る。新潟の動きが悪すぎたとはいえ、いつもと違い前半からアグレッシブに闘う清水は次々にチャンスを作る。11分に はFKからのこぼれ球をマルキーニョスが強烈なシュート、これは新潟GK野澤に防がれるがこのgoleadorが何度も新潟守備陣を脅かす。33分、左CKから ファアサイドに送られたボールに俊秀がヘッド、これをゴールマウスにいた相手DFに跳ね返されるがそのこぼれ球をマルキーニョスが押し込んで先制 する。更に38分、今度もセットプレーから一度は相手にクリアされたボールを再び拾って右サイドに展開、前線に残っていた浩太がこれを受けて折り 返し、このボールにニアサイドに飛び込むマルキーニョスがヘッドで押し込んで2点目。非常にいい流れで前半を終えた。
 先日の大宮戦で同じ展開から負けただけに不安視された後半、開始から浩太を下げてノボリを投入するが、前半に比べると明らかに積極的になった 新潟にボールを支配される。それでも中盤でテル、更に兵働の献身的な守備で決定的なピンチを許さない。しっかり守ってカウンターを狙う作戦で圭 輔やマルキーニョスが決定的なチャンスを作るが肝心のシュートを外してしまう。こうなるとやはり流れは新潟へ行くもの、次々に選手を投入し3枚の カードを切った新潟は77分に左サイドからFW鈴木慎吾がファアサイドへクロス、これをFWエジミウソンがヘッドで落としたところに走りこんだMFファ ビーニョがボレー、必死にスライディングをしかけた清水守備陣を抜けてゴールに突き刺さり1点差。嫌な予感がよぎる清水だがこの日はホーム、サポ ーターの必死な声援に体を張った守備で応える。81分には圭輔から純平、89分にはマルキーニョスから久保山と前線もフレッシュな選手に切り換えて 最後までこの点差を守りきりホーム日本平で2連勝を果たした。

 とにかくこの日は川崎F戦を上回るサポーターの声と気持ちに選手もシンクロし、気持ちとプレーで応えてくれた。この日本平ならではの雰囲気が前 半の2点に繋がった。そして決めるべきストライカー、goleadorの存在が大きかった。今回の試合のMVPはやはりgoleadorマルキーニョスだろう。1点目、 2点目ともFWらしいゴール、得点への嗅覚の鋭さを俺は感じた。それだけでなくFWとしての守備も実にうまい。ファウルを取られることなくうまくボー ルを奪ってしまうなど体の使い方が実にうまい。マルキーニョスの活躍というのは彼自身だけでなく今度はジェジンの負担が減ってかなり楽になるな どの相乗効果まで期待できるしこれからますます楽しみにさせてくれる。
 そして彼に負けず劣らずの活躍をしたと言えるのがテルであった。出足の早いチェックで相手の攻撃を面白いように止めていた。この中盤での優位 がそのまま守備の負担を減らすと同時に相手の手薄な守備をついた攻撃へと繋がっていた。後はここからFWを追い越して飛び出すような動きが見せら れると更に最高なのではないだろうか。もちろんそれぐらいできるはずの選手だから期待している。守備陣もテルに引っ張られるように体を張ってい た。象徴的なのは失点シーン、今までと明らかに違っていたのはシュート体勢に持ってかれるまでのカバーリングは確かに遅かったが、シュート打つ 瞬間に守備陣はみんなスライディングに行っている。今回はたまたまそれでも相手のシュートが素晴らしかっただけであり、今までのボールウォッチ ャーになっていた状態からすれば格段の進歩であり、気持ちが感じられた。この闘う気持ちが見られる限り、残り10試合を切った闘いもきっといい結 果が出ると信じている。

 サポーターも前回のホームゲーム、川崎F戦に引き続きメッセージ横断幕を掲出し選手を鼓舞していた。試合前にはビッグフラッグも出し、クラブも またオレンジボードを配布するなどサポーターやクラブの垣根を越えて共通の想いでこの試合にかけていた事が日本平を前回以上の劇場空間に作り上 げて選手の力を引き出したと思う。それは本当に自信にもっていいと思う。この雰囲気を続けつつ、ひとりでも多く、今よりもっと声を出す基本を忘 れなければ日本平って聖地が相手にとって鬼門になるような素晴らしいスタジアムになるはず。試合前に多数詰め掛けた新潟サポーターから「どっち が本物か決めようぜ!」と書かれた挑発の横断幕も掲出されたが、これなら胸を張ってこっちが本物のオレンジと言える。

 でも、大事なのは次。次だよ。この前は劇的な勝利をつまらない敗戦で勢いを潰してしまった。今回の勝利は次に勝って勢いを本物にする為の権利 を得たに過ぎない。サポーターは決して気を抜く事無く選手を鼓舞しよう。今度こそ、この想いを実らせよう。



出直し。

2005.09.10(SAT)
2005 J-LEAGUE DIVISION-1 23rd LEG
vs FC TOKYO
0-1 LOSE
at NATIONAL STADIUM(TOKYO)


 一週間前の歓喜からわずか一週間。あの熱い気持ちや熱い闘いはまるで遠くへ行ったかのようであった。再び出直しである。

 約10ヶ月ぶりの国立での試合、序盤からFC東京ペース。両サイドを大きく使ったFC東京の攻撃に清水は人数を割いて守るだけ。14分にはPKエリア内で ボールを受けたFC東京FWルーカスがDFを背負いながら振り向きざまのシュート、これはGK西部のファインセーブでCKへ。更にそのCKで前に出ていたGK西 部を越えるシュートを打たれるがゴールマウスに立っていた久保山がヘッドでクリアして防ぐ。しかし、前節の勝利を忘れたかのような清水の消極的な 闘いぶりで試合の流れを掴めない。結局このまま前半を終了する。
 後半に入り、FC東京は積極的な選手交替が功を奏す。53分にMF鈴木規郎を下げてFWササを投入する。そのわずか3分後の56分、FC東京はそのササがファ ウルを受けて左サイドPKエリアのわずか外からFKのチャンス、ここでファアサイドにクロスをあげてMF今野がヘッドで落としたところにつめていたFW戸 田のボレーシュートが決まりFC東京が先制する。この時、清水の守備陣は相手選手と競り合う事無く、左右をボールが行き来するのを見るだけのボール ウォッチャーとなってしまった。ここでようやく清水も動き、60分には由紀彦からテウク、69分には久保山からノボリと交替する。これで流れは清水へ、 序盤から由紀彦との連携がうまくいかずにほとんど上がれなかったイチも積極的なオーバーラップでサイドからのチャンスを演出すると、浩太も積極的 に飛び出してチャンスを狙う。このいい流れのまま最後の切り札を使うかと思われたが、その最後の切り札北嶋が投入されたのは82分であった。この時 間帯になると圧倒的に清水のペース、両サイドを破り次々放り込むもののここにFC東京のDFジャーンと茂庭の厚い壁に跳ね返される。工夫のない攻撃で いたずらに時間だけが過ぎて試合は終わってしまった。

 一週間前の全てを台無しにしてしまったかのような闘いであった。あれだけの熱い気持ちが何故次にもできないのだろう。監督も勝負に出るべき時を 逃した采配であった。ほんの一週間前に後の事を考えず勝ちに行く選択をして見事に結果を勝ち取ったはずなのに今回は消極的な采配が目立った。結果 として途中から入った選手の活躍は良かったが、ならば何故先に使うことをしなかったのだろう。そして守備陣にはあの失点シーンを充分反省して欲し い。最初のヘッドの折り返しも競り合わず、押し込まれた選手にも誰もチェックに行っていない。ゴールマウスに何人か立っていたがそんなのは全く無 意味である。確かに前半はそれに助けられたが、やはりセットプレーだけでなくどんな時でも激しく当たりに行く事も必要なはず。たった1点を失う事が 勝ち点3を失う事になる。89分のいい守備も1分のミスで台無しという事である。
 攻撃の方も前線でポストをこなせる選手がいないのに単純に前線へ不正確なロングパスが目立っていた。終盤にサイドや中央で細かくパス交換をする シーンがあったが、その攻撃をするのが遅すぎた。更にセットプレーでも工夫がない、スローインに至ってはまともにマイボールにすら出来ない。こう いう基本的なところからでも改善していって欲しい。特にセットプレーは高さのある選手もいるだけに本来ならチャンスのはず。せっかく由紀彦に兵働 と質の高いクロスがあげられるキッカーもいるだけに更なる磨きをかければ大きな武器になるはずだ。

 さてこの日の国立はアウェーの応援スペースは非常に狭くされてしまった。だがこの狭さが自然と密集へと繋がり、かなりまとまった応援になったの ではないだろうか?また、この日も試合に来れない仲間や危機感を抱いたサポーターからはメッセージ横断幕が出されていた。だが、サポーターにして もやはり前節の勝利で気の緩みがどこかであったかもしれない。たった一つの勝利に安堵して全体のパワー自体は低くなってしまった感じがするし、も う一度サポーターも出直しだ。試合終了後にもコール、ブーイング、無言、拍手とサポーターも様々な反応があった。でも待って欲しい、いつまで強豪 気取りでいるのだろうか?この現在の状況が清水の全て、本当に弱くなっている。だからこそ、ここで共に闘い這い上がるしかない。逃げ出す事、文句 を言うだけ、こんなのは誰でも出来る。次節は再び聖地日本平、先週あれだけの応援が出来て来週出来ないわけがない。再び残留を目指しての闘いが続く。



日本平劇場。

2005.09.03(SAT)
2005 J-LEAGUE DIVISION-1 22nd LEG
vs KAWASAKI FRONTALE
3-2 WIN
at NIHONDAIRA STADIUM(SHIMIZU)


 今までと違った選手の気持ちとメインスタンド・バックスタンド・ゴール裏全てが一体となったサポーターの力の結集が素晴らしい結果を 生み出した。ここ日本平がまさしく劇場となった試合であった。

 試合は序盤から清水のペース、ジェジンが体を張って相手と競り合いボールをキープすることで周りの選手のシュートを引き出す。6分に は浩太がマルキーニョスからのパスを受けて相手DFをかわしPKエリア外から思い切ってシュート、これは枠を外れるがこうした前へ積極的に 出る気持ちで試合を優位に進める。ところが22分、右CKのチャンスでクリアされたボールが川崎FのMFマルクスへ、イチが前に出てボールを 奪おうとするがかわされて一転してカウンターのピンチ、マルクスは必死に戻る清水守備陣より一瞬早く裏に抜け出した川崎FのMFジュニー ニョへスルーパス、ジュニーニョは飛び出してきたGK西部をかわして冷静にゴールへ流し込んで川崎Fが先制する。それでも清水は29分には ジェジンのヘッドから裏に抜け出したマルキーニョスがファウルを受け、真正面PKエリアすぐ外の位置でFKを得る。由紀彦が蹴ると見せかけ てボールを右に流したところへマルキーニョスがダイレクトシュート、壁の間を抜けてから急激にスライスしたボールが川崎FのGK相澤の手 を越えゴールネットに突き刺さり同点に追いつき前半を終了する。
 後半に入り試合は徐々に川崎Fのペース、前半と変わり両サイドを幅広く使う攻撃で川崎Fがチャンスを掴む。55分には川崎Fが自陣からボ ールを廻して左サイドに展開、MFアウグストがボールを受けてドリブル、スライディングをしてきたイチをかわしてからゴール前へ鋭いクロ ス、これが和道の裏に走る川崎FのFW我那覇にピンポイント、和道の伸ばした足を越えたボールに我那覇がダイレクトボレー、これが豪快に ネットを揺らして再び川崎Fが勝ち越す。この後も川崎Fはジュニーニョやマルクスを中心に早いカウンターで清水を苦しめる。川崎Fの決定 力不足とGK西部のファインセーブがなければここで試合は決まっていたかもしれない。
 劣勢状態の清水は健太が思い切った采配に出る。73分に由紀彦と山西を下げ、北嶋とノボリを同時投入し、左ウイングでプレーしていた兵 働をサイドバックに廻す。一方の川崎Fは前線の人数を増やした清水に対応する為にDFの選手を投入する。弱気になった川崎Fの采配に対して、 健太のこの采配にこめられた点を取る、勝負に出るというサインに選手達は応える。83分、中央からテルが左サイドのノボリへパス、パスを 受けたノボリが後ろへドリブルしながら振り向きざまに裏のスペースを走る浩太にスルーパス、相手を引き寄せて生まれたスペースに飛び出 した浩太はこのボールを受けると寄せてきた相手DFの股を抜いてかわして飛び出したGKの位置を見てニアサイドを狙ってシュート、これが決 まって同点に追いつく。こうなるともうスタジアムの雰囲気も手伝って清水の流れへ、88分には右CK、キッカーの兵働が一旦はクリアされた ボールを拾って再びファアサイドにクロスボール、これに和道がヘッドで叩き込んでゴールを決めた。和道のJ初ゴールでついに勝ち越した清 水は川崎Fの最後の攻撃もジュニーニョの突破を兵働が1対1で奪い取り試合終了。聖地日本平では3ヶ月ぶりのリーグ戦勝利を挙げた。

 素晴らしい逆転劇であった。確かに先に点を取られるなど内容は完璧とは言えなくてもそれを上回る何としても勝つという気持ちが選手に あった。その象徴であったのがこの日のMVPといえる活躍をした浩太だ。中盤で労を惜しまない運動量でボールを奪うだけでなく一旦チャンス となるや前半から積極的にシュートを放つなど高い攻撃意識が目立った。その結果が終盤のスルーパスへの飛び出しからのゴールであった。G Kと1対1からの冷静なシュートなどはどのFWよりも落ち着いていた。またそれを引き出したのは途中出場のノボリである。出場時間こそ短いが 最近のノボリは途中から出場して流れを変えている。あのスルーパスを見るとまだまだ彼の必要性を感じる。マルキーニョスも試合の流れで 消える場面もありながらFKでしっかり決めるなど実にFWらしいFWであった。まだスタミナの面で不安を感じるがこれだけ短期間で結果を出し てくれるとは明るい誤算であった。そしてここ2試合で完全にレギュラーを取ったと言えるのが兵働である。左足で正確なパスが出来るだけに キッカーとしても実に貴重な存在である。
 守備陣も2失点はしたがそれでもGK西部はファインセーブで劣勢の状況を支えたし、森岡を出場停止で欠くDFラインを俊秀が中心となった必 死に耐えていた。和道は我那覇に追いつけず許した2失点目を挽回しようとした気持ちが最後の嬉しいJ初ゴールに繋がったのではないだろう か。ただし2失点とも右サイドでイチが積極的にボールを奪い前に出た結果が裏目となった形、イチの積極的な気持ちはいいのだが失敗を2度 繰り返したのは反省してもらいたい。4バックの破綻に繋がるだけに積極的かつTPOを弁えた冷静な判断も必要になる。

 この日はサポーターも昨年の残留をかけた柏戦を思い出すかのような気持ちの入りようであった。過去の試合で選手に激を飛ばした数々の メッセージ横断幕を貼り、選手のバスが入ってくるところにもこれらの横断幕で選手に気持ちを伝え、盛大なエスパルスコールで迎えていた。 また、前節の試合後に悔しさのあまり器物損壊をして出場停止となった森岡への励まし、その試合後にチームに抗議した結果出入り禁止とな ったサポーターからの気持ちが込められた横断幕なども貼られていた。全てのエスパルスを愛するサポーター全体の想いがこの日駆けつけた サポーターの声援にも乗っていた。試合前には「LA12」と書かれたビッグフラッグも出され、クラブからもオレンジボードが配布されメイン スタンド・バックスタンドともオレンジ一色になった。試合中も劣勢の時でもよく声が出ていたし、終盤に近づくにつれ普段は静かなメイン スタンド・バックスタンドからも手拍子や声援が出て非常に素晴らしい雰囲気となった。これこそ聖地にふさわしい雰囲気であった。できれ ば今回だけでなくこの雰囲気が持続していければなと思う。この日はこの素晴らしい劇場がもたらした逆転劇であろう。

 さて、この1勝への喜びは喜びとして受け止め次にも目を向けよう。たかが1勝、まだまだ残留へ向けての厳しい戦いがスタートしたに過ぎ ない。サポーター席では「残留」と書かれたゲーフラも出されていたように残り12試合、まだまだ気が抜けない。この勝利をいい意味で次に 繋げるべく、我々も気持ちを切り換えて再びアウェーの一戦に備えよう。次は同じように残留を争うライバル、必死なのは相手も同じ。なら ば気持ちで絶対に負けるな。