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最低限の仕事。

2006.08.30(WED)
2006 J-LEAGUE DIVISION-1 21st LEG
vs KYOTO PURPLE SANGA
1-0 WIN
at NIHONDAIRA STADIUM(SHIMIZU)


 押しながら試合を進めて点が取れない。過去何度もあった典型的な負けパターンをはねのけた。結果的に勝った事で最低限の仕事をしたと言える。 7月からの連戦を終えてわずか1敗1分、残り全てを勝ちきって13試合を残して昨年の勝ち点を既に上回るとは誰が予想できたのだろうか?どん底から 這い上がった我らは今ようやく上を見据えて闘える段階まで来たと言える。

 8月の2週連続水曜土曜開催もようやく最後、しかも前節に続き聖地日本平での試合という事、相手は下位に沈む京都。試合前にはスタジアムに楽観 過ぎる危険なムードが漂っていた。1ヶ月負けていないがその前回負けた相手が京都であるということを忘れたかのように・・・。試合は予想通り前 半から清水が有利に進める。引き気味の相手に対して左右から揺さぶりをかけ中盤からも裏を狙ったプレーが出る。マルキーニョスとジェジンは盛ん にポジションを変えたりサイドに流れて相手を撹乱してチャンスを作る。20分には右サイドから兵働が縦に出したパスをエダがダイレクトで右サイド のスペースに飛び出したマルキーニョスにパス、抜け出したマルキーニョスが折り返したボールをゴール前でジェジンが合わせる。しかしこれは京都 GK西村のファインセーブにあう。これがこの後に続くもどかしい展開の序章であった。その後も淳吾や枝村が遠目からも積極的にシュートを放つが枠 の外か相手GKの真正面となかなか決めきれない。37分には右CKのチャンス、兵働のクロスにゴール中央で完全にフリーになったジェジンがヘッドする もこれも京都GK西村のファインセーブにあい得点できないまま前半を終える。
 後半に入っても押し気味の試合は続く。65分にはカウンターからジェジンがドリブル突破、相手DFを素早い切り返しでかわしてファアサイドに待ち 構える淳吾へクロス、これに淳吾がジャンピングボレー、しかもこれもまた京都GK西村のファインセーブにあって得点ならず。ことごとく決定機を防 ぐ京都の守備に前回の対戦の嫌な想い出が過ぎった。しかし66分、右サイドからマルキーニョスが粘り強いドリブル突破、引っ張られても簡単に倒れ なかったが京都DF手島の悪質なファウルで倒されてFK、このプレーで京都DF手島に警告が出る。右サイド、距離は30mぐらい離れていたがFKのチャンス。 ここで何故か京都はMF美尾からMF中払へ選手交替。この間に清水は淳吾と兵働が念入りに打ち合わせ、これが功を奏したのか兵働のあげたクロスにゴ ール中央何故かフリーのジェジンが叩きつけるヘッド、神がかり的なセーブを連発していた京都GK西村の手を掠めてゴールが決まった。
 直後のキックオフ、油断をしていたわけではないだろうが京都FW松田がヘッドで落としたボールがこの試合ここまで沈黙していた京都FWパウリーニ ョへ、そこからドリブル突破であっという間に青山までかわされてシュートを許すがカバーしていた和道がスライディングでクリア。その後は次々に 選手交替に出る京都に対して清水は76分に疲れの目立った淳吾を下げて純平、更に終了間際の86分にはマルキーニョスを下げて浩太を投入する。その 浩太はそのまま1.5列目の位置でボールを追いかけ、チャンスとなると積極的にドリブルで仕掛けて反撃したい相手を逆にかき回していた。結局このま ま試合終了、日本平でのリーグ戦連勝記録を6に伸ばした。

 なかなか決めきれない試合でも勝ってしまうというのは強くなってきたと思っていいだろう。今日は攻撃が目立っていたかもしれないがMVPは和道だ ろう。京都で一番怖いFWパウリーニョを青山と共に完封。唯一危ない場面であった得点直後のシーンでも的確なポジショニングでシュートをブロック していた。五輪代表としても試合が続き、このところ疲れが見える青山を補いつつ自身も正確なフィードを狙うなどプレーに余裕が見られるようにな った。昨年から常にピッチに立ち続けて奮闘しながら心無い人間からの愛の無い罵声とかも飛んでいるけど見ている人は確実に彼の頑張りを認めてい るだろう。この日のゴール裏では彼のファンと思われる方から「代表へ」と書かれたボードも出ていたけどそれも夢じゃないような活躍と個人的には 思った。そして両サイド、特に左の山西は前節のFC東京MF石川に続いて今回も対面の京都MF加藤に対してスピードで負けながらも経験の差で見事封じ ていた。この4バック+西部の存在が実に頼もしい限りだ。
 そして攻撃陣、この日はあまりにも相手GKが当たってしまった結果だと思う。前線の選手が活発にポジションを変え、なおかつ2列目の飛び出しも出 来ていたし組み立て自体は申し分ない。それでも決めるところを決めないと上位との差はなかなかうまらないだけに1点に終わった点は反省して欲しい。 でもその1点をこのところの課題として取り組んできたセットプレーから奪ったのは良かったのではないだろうか。前半から何故かジェジンがフリーに なっていたが、それもジェジンのうまさだと思うしそこへ正確にボールを送った兵働も見事だったのだと思う。でも再三言うようにやはり決定力の向 上だろう。

 夏の最後の日本平。土曜日の試合ほどのお客さんはいなかったがみんながこの見ていて楽しいサッカーに酔いしれていただろう。ハーフタイムには Jr.ユースが登場し、夏の全国大会準優勝の報告会が行われた。彼らにとって見ればこの日本平のピッチとオレンジ戦士は大きな目標。彼らにはこの強 いエスパルスが頼もしく見えただろう。そしてまたサポーターは未来のオレンジ戦士たちの登場にハーフタイムながら沸いていた。そんな遠くない将 来に彼らが我々を沸かせて、我々も彼らの背中を押しているはず。

 今日の試合、対戦相手京都のゴール裏には勝ち点3を切実に願う「勝」と一文字書かれたゲーフラが出されていた。そう、去年の今頃降格の危機感に 満ちていた我々と同じ状況、あの状況を切り抜けたから今があるが、逆を言えばいつでもああいう状態になる可能性はいっぱいある。常に危機感と愛 を持って闘い続けよう。9月からはいよいよ関東の強豪との連戦が控えている。ホームゲームなのに聖地日本平を捨てたクラブの愚策のせいで1試合も 聖地での試合がない厳しい状況。ならばサポーターがひとりでも多く少しでも大きな声で選手の背中を押そう。闘いは次のステージへ・・・。



タフ。

2006.08.26(SAT)
2006 J-LEAGUE DIVISION-1 20th LEG
vs FC TOKYO
2-0 WIN
at NIHONDAIRA STADIUM(SHIMIZU)


 自ら得たチャンスを失敗して始まった難しい試合。でも今の清水は攻守ともタフである。去年からの積み重ねが今厳しい闘いを続ける中で本当に活 きてきているのを実感した試合であった。

 試合前にはアウェー側の緩衝地帯を除いてどのカテゴリーもぎっしりと埋まった中で試合は始まった。中盤からプレスで奪ったボールを左右中央と 自由自在に振り分けてチャンスを作る清水。3分には山西が自陣左サイドから前方のジェジンに正確なフィード、これをジェジンが相手DFを背負いなが ら胸トラップから反転してボレー、枠にはいかなかったものの前線で起点となる。更に12分に中盤から淳吾が左に開いたマルキーニョスにパス、マル キーニョスがタメを作る間に裏から廻って飛び出した淳吾に再びパス、完全に抜け出した淳吾がFC東京DF徳永に倒されてPKを獲得、徳永には警告が出 される。このPKのチャンスに蹴るのはマルキーニョス、しかしマルキーニョスのPKはゴールの枠を外れてしまう。直後にFC東京DF茂庭にはマルキーニ ョスを馬鹿にするような態度をとられるなどFC東京にとっては助けられた形となりここから流れが変わる。
 左からMF川口、右からMF石川の突破でピンチとなるがゴール前では体を張った守りと相手の不正確なシュートに助けられるが、取れるはずの1点が取 れなかった清水がなかなかペースを掴めない。それでも前半の終わりになるとマルキーニョス、ジェジンが中央だけでなくサイドに開き、空いたスペ ースに兵働、淳吾、枝村が入るなど工夫して相手の固い守りをこじ開けようとする。そして前半ロスタイム、右CKから兵働が中央に送ったクロスにマ ルキーニョスが飛び込むが遅れてマークに入ったFC東京DF徳永が倒して笛が鳴りPK、そして徳永にはこの日2枚目の警告が出されて退場となる。今度は ジェジンがこのPKを蹴る。コースを読まれFC東京GK土肥の手に当たりながらもPKを決めた。歓喜の清水側ゴール裏、一方のFC東京側ゴール裏からは主 審を罵倒するコールが出るなど騒然とした状態で前半終了の笛が鳴った。
 迎えた後半、一人少ないFC東京に対して清水は落ち着いてパスを廻して終始有利に進める。前半同様に淳吾や枝村の飛び出しからチャンスが生まれ るがFC東京GK土肥のファインセーブにあてなかなか得点できない。FC東京もサイドからカウンターを狙うがMF石川の突破もこの日はDF山西が完璧に封 じる。シュートを多く放ちながらなかなか追加点が奪えなかった清水だが77分、FC東京DFジャーンが右サイドにいたMF伊野波にパスをしたところに淳 吾がプレス、MF伊野波が縦に出そうとしたボールをカットするとそれを拾った枝村が前方にパス、そのこぼれ球を拾ったジェジンが左サイドへ飛び出 した淳吾にパス、淳吾がゴール前までドリブルで上がって相手DFを引き付けて再びマイナスのパス、これを引いて受けたジェジンが右足インサイドで ダイレクトシュート、これが決まって2点目を奪った。その後はマルキーニョス、ジェジンを下げて久保山、矢島を投入し2トップを休ませる余裕の采 配。一方反撃したかったFC東京はDF茂庭が負傷交替で交替枠を使い切る不運もあり反撃できずこのまま終了。

 難しい試合なのにきっちり勝てる清水、本当にタフで強くなった事を実感した。この日のMVPは文句無くジェジンであろう。マルキーニョスの信じら れないPK失敗の後のPK、自ら志願してこのPKを決めた事で彼自身もそしてマルキーニョスも救った。PK自体は素人でもコースが分かってしまうような キックであったがそんな理屈抜きに決めるという気持ちが押し込んだゴールであった。昨年、彼自身がPKを失敗し、その後の残留を賭けた大事な試合 で得たPKはマルキーニョスが志願して成功させジェジンも救った過去がある。今度はそのお返しという形で救った。なんだかんだ言ってもこの2トップ はお互いを支えあっている事を実感した。またこの日は幅広く動きボールを追いかけた事でチーム全体の守備の負担も軽くしたし、そういう姿勢が2点 目に繋がった。2点目は右足インサイドで合わせたとは思えないほどの強烈なシュートであった。またこのシーンでFC東京側は接触プレーで倒れた味方 選手を見て主審にボールを出すように指示していたが、それを判断するのは主審自身、そんな中で集中を切らさずゴールを決めた清水、実にしたたか でタフなチームの成せる業であった。マルキーニョスもPK失敗は仕方が無いが、どうも今日はその後もそれを引きずったのか独り善がりなプレーとい うか持ち過ぎでチャンスを逃していたが、結果として勝った事で気持ちを切り替えて欲しい。それとここ最近、サイドを深くえぐってからのマイナス の折り返しから得点が多いし、健太が相当このパターンを練習している事が伺えるし、チームとしてそれが忠実に出来ているのはいい事である。
 守備陣も難しい試合をよく耐えてくれた。まだシーズン20戦で8度目の完封勝利というのは大したものだ。その中でも特筆すべきは山西の頑張りであ った。FC東京右サイドの石川の突破に対して距離をとって、奪う時には素早く寄せて奪い去るなどスピードある相手に対してそれを上回る長年の経験 と技術で封じ込めた。前節はフォローが少なくて徹底して狙われたがその問題も淳吾やテルのカバーもあってわずか3日で修正できていたし、欠かせな い戦力という事を改めて証明してくれた。

 それにしても8月最後の週末の試合、スタジアムはたくさんのお客さんで埋まった。そういう中で試合自体も盛り上がった。試合中はFC東京DF茂庭が 倒れた際に清水側から自然発生的に彼へのコールが出ていたが、PK失敗時の彼の非礼や前半終了間際の罵倒のようなFC東京側のコールに耐えていた清 水サポーターの素直な反応だったかもしれない。でも主審の判断によっていくらでも不利になる試合はどのチームにもある。清水にだってそういう時 が当然起こりうる。そんな時にFC東京のように主審を罵倒するより自チームを後押しするような応援になれば少しでも違う結果を呼び込めるんじゃな いかなと個人的には思う。

 8月の連戦も残り1試合になった。9月からの上位とのアウェーでの連戦を前に一つでも貪欲に勝って上位陣をあっと言わせてやろうじゃないか。今の 清水、本当に強くなってるし面白くなってきたそんな事を今日は感じたしこれからもやってくれると期待している。



ノーガード。

2006.08.23(WED)
2006 J-LEAGUE DIVISION-1 19th LEG
vs OITA TRINITA
3-3 DRAW
at OITA STADIUM BIG EYE(OITA)


 残暑厳しい気候の中で両チームが壮絶なノーガードの闘いであった。その結果分けあった勝ち点1、今は痛いと思うこの勝ち点1だが、今後いくらでも 取り返せるし取り返さなくてはならない。

 平日の夜に大分で行われた試合とあって、清水側サポーターはごくわずか、一方の大分はゴール裏はぎっしりの状態で試合は始まった。序盤から激し いプレスからの素早いパス廻しで清水が圧倒する。開始早々には左CKからジェジンがヒールで合わせるシュートを放つが大分GK西川の正面で得点ならず。 それでもいい流れで試合を進めていた清水だが落とし穴があった。28分、左サイドから崩されて一度はクリアするも繋がれて大分MF根本がファアサイド にクロス、これを大分FWラファエルがヘッドで折り返したところに走りこんだ大分MF高橋のボレーが決まってしまい先制を許す。サイドを完全に振られ、 なおかつ誰も競り合わず、しかも後ろから走り込む選手を全くのフリーにしたらしくない守備で失点を許してしまった。
 しかし31分、右サイドからイチが前方に出したフィードを受けたマルキーニョスが右サイドに上がった淳吾にパス、淳吾がキープから裏に飛び出して きたイチへヒールパス、これを受けたイチが深く切れ込んでからマイナスの折り返しをジェジンがシュート、流れるような素晴らしいパスワークから同 点に追いつく。すると更に続いて32分には素早いスローインから兵働がボールをキープして上がって左サイドから裏を狙って飛び出した枝村へスルーパ ス、枝村が大分DF上本を切り返しでかわしてシュート、GK真正面だったが威力のあるシュートは大分GK西川の手を弾き飛ばしてそのままゴール。電光石 火の逆転激でその後は圧倒して前半を折り返す。
 後半、前半の運動量が嘘のように落ちた清水に対して大分が徹底的にサイドを攻めて押し始める。チーム全体の運動量が落ち左サイドの山西が孤立す る中、テルのカバーなどで何とか持ち堪えるが健太がここで動く。61分、マルキーニョスを下げて矢島を投入する。しかし悪い流れは止まらない。62分 にジェジンがラフプレーでファウル、警告を受けてチーム全体が浮き足立つ中で大分は素早いリスタート、左サイドから大分MF根本がファアサイドにあ げたクロスにフリーで走り込む大分MF高橋がダイビングヘッドを決めて同点に追いつかれる。こうなるともう流れは変えられない、両サイドが上がる大 分の攻撃に劣勢に立たされた清水。72分にはカウンターからボールを受けた大分FW高松に守備陣が引き付けられ、右サイドから上がってきた大分MFエジ ミウソンがフリー、そこへボールがわたりエジミウソンが右45度から放ったシュートが決まって逆転される。
 それでもこのピンチに守備で奮闘していたベテラン2人が意地を見せる。74分、左サイドから山西があげたクロスを矢島がヘッドで落としたこぼれ球に 後ろから上がってきたテルが胸トラップからボレー、このシュートが大分の選手に当たってコースが変わり、大分GK西川が一歩も動けずゴール。執念で 追いついたがここから試合はノーガードのカウンターの応酬となる。76分、疲れが見えていた淳吾を下げて純平を投入した清水だが、山西が孤立した状 況は変わらず大分は右から何度も崩してくる。右へポジションを移した大分MF根本の飛び出しにDFがつられシュートを許す。76分のシュートはポスト、 79分のシュートは西部のファインセーブに救われる。一方の清水も78分には山西がオーバーラップからあげたピンポイントクロスに矢島がヘッドで合わ せるが惜しくも大分GK西川の正面。しかしロスタイムに入ると健太は兵働を下げて久保山を投入し、タッチラインから選手に無理しないような指示が出 て試合終了。ノーガードの壮絶な試合は両チーム痛み分けに終わった。

 選手、サポーターとも勝ちたい気持ちが強く、終わった瞬間は勝てなかった悔しさだけが残っていたが冷静に考えれば今まででだったらズルズルと失 点を重ねる可能性もあった試合展開を粘って引き分けに持ち込んだ事は大きい。前半の素晴らしいプレスも後半もたなければ意味がない。そんな中でひ とりで複数の選手と対応しなくてはならなかった山西、それをカバーする為に攻守幅広く動いたテルの頑張りは忘れてはならない。確かに徹底的に山西 のサイドをついてきた大分の攻撃を防ぎきれなかったから何も知らない人たちは彼を批判するかもしれない。でも、本来それを前で防ぐべき中盤の選手、 そして前線の選手の動きが落ち、また動こうとする意欲の無いと見られる選手がいたせいである。山西もただやられていただけでなく終盤には何度も攻 め上がり相手を脅かしていたように決して心は折れていなかった。そしてテルである。最後の最後で相手のカウンターの芽を何度も摘んでいたのは彼、 誰よりも90分間フルに動き回った点を他の若い選手たちは見習って欲しい。そのうえ奪ったミドルシュートは見事以外の何者でもない。
 ただ守備陣全体に言えるのだが視野の狭さが気になる。失点の仕方がいずれも外側から飛び込んできた選手、出し手を潰すか受け手を潰すかどちらで もなく中途半端な守りが招いた失点であり最近好調だった和道、青山は過酷な連戦という事を差し引いてももう一度修正して欲しい。でもこの試合を引 き分けで終われたのは終盤の西部の落ち着いた守りだった事も忘れてはならない。3-3というスコアを見れば悪い内容に見えるけど、両チームがお互い持 ち味を出して攻め合った死力を尽くした試合であった。

 それにしても平日、九州での試合では福岡戦と同様にサポーターはやはり寂しい。サンバの方も苦しい人数で必死に応援をリードしてくれたし、個々 サポーターも人数の少なさを感じさせていなかった。試合後に外で大分サポーターの会話で「あのリズムが忘れられない」という言葉を聞いたが、みん なの頑張りは無駄じゃなかったと思う。でも、もう少し来て欲しい。こういう遠隔地のアウェーこそサポーターの力が試される時。一方の大分、以前は 分裂しているサポーターもいたような印象だったが平日のナイトゲームに大きな器のゴール裏がちゃんと埋まって声援を送っていた。以前の残留争いを していた頃と違ってやっているサッカーもいいし、サポーターも育ってきて経営状況以外は好循環になっているようだ。清水も底辺から必死に闘って今 やっと上昇し始めている。何故か似ている雰囲気のこのチームとの試合は本当にいい闘いであった事を改めて記しておく。

 さて、休む間もなく試合は続く。3日後、今度は聖地日本平。相手は勢いに乗るFC東京だが、聖地日本平では最近ずっと負けていない。いいサッカーで 勝ち、地道にサポーターも観客も増えている。このいい流れで何とか厳しい連戦を共に勝ち抜こう。



蓄積された差。

2006.08.19(SAT)
2006 J-LEAGUE DIVISION-1 18th LEG
vs VENTFORET KOFU
4-0 WIN
at NIHONDAIRA STADIUM(SHIMIZU)


 リーグ戦もいよいよ2巡目。開幕戦から早くも半年、両者がその間に蓄積したモノの差が結果に表れた。走り続けたそのわずかな差が積み重なって 試合結果の大きな差へ。リーグ戦折り返しに最高の結果を残して選手たちはまた走り続ける。

 8月最初の聖地日本平でのホームゲーム、スタジアムにもたくさんのサポーターが詰めかけ、相手の甲府サポーターもアウェー側ゴール裏の半分を 埋め尽くすなど盛り上がった中で試合は始まった。試合は序盤から清水ペース、前節からスタメンの矢島の積極的なプレーがチームを引っ張る。8分 には前線へのフィードが長かったものの諦めず追いかけて甲府守備陣の連携の乱れからボールを奪うがすぐに奪い返され、16分にはやはり長めの味 方のフィードを相手DFとうまく入れ替わって抜け出して甲府DFビジュをかわしてシュートも枠の外となかなか決められないが彼の溌剌とした動きに チームは勢いに乗る。しかし、こうした時に落とし穴があるもので、20分過ぎには両サイドから次々に攻められてゴール前での際どい場面が続く。 西部が飛び出してこぼれた球を押し込まれた大ピンチもゴールマウスにいた和道が辛うじてクリアするなど体を張って守るとようやく先制点を奪う。
 27分、右サイドからイチのパスを受けた枝村が素早く前を向くと前方に完全にコースが空き、そこを難なくドリブルで進む枝村、一方の甲府は飛 び出してくる清水の選手にズルズルとラインを下げて枝村の突破を簡単に許し、PKエリア手前まで進入した枝村はミドルシュート、あまりにも簡単 にゴールが決まって清水が先制すると試合の流れはもう決まってしまった。続いて31分にはテルがセンターライン付近からDFラインの裏を狙って飛 び出した兵働へ絶妙のスルーパス、兵働は相手DFを切り返しでかわしてからシュート、シュートこそ真正面だったが強烈なボールに甲府GK鶴田がフ ァンブルしたボールをマルキーニョスが押し込んであっという間に2点目を奪う。甲府の右SB、CBの間に出来た広大なスペースを次々についた攻撃で リードを奪うと甲府はようやくこの失点後にまだ前半ながらDF秋本を下げてアライールを投入するなど修正を図るが結局前半はこのまま折り返す。
 2-0とはいえ、決められるところを決められない状況で折り返す清水にとっては後半の立ち上がりが鍵となった。そして迎えた後半開始わずか20秒 でその課題をクリアする。左サイドからあげた山西のロングフィードにマルキーニョスと相手DFが競り合って裏に流れたボールに枝村が反応して抜 け出し、枝村はドリブルでゴールライン際まであがりつつ味方の上がりを待って折り返し、これに後ろから走り込む兵働が難なく決めて3-0。効果的 な得点を挙げる清水が試合を決めてしまった。しかし、ここから何故か試合のペースが相手へ渡ってしまう。3失点で攻めるしかない甲府の積極的な 攻撃を受けてしまい、清水の攻撃は単調になってしまう。62分に淳吾を下げて純平、63分にはマルキーニョスを下げて怪我から復帰のジェジンを投 入するが一度変わった流れをなかなか変えられない。カウンターからのチャンスも矢島やジェジンが決められないと、今度は75分に山西が足を引き ずって森岡と交替してしまうアクシデント。すっきりいかない試合の流れだったが87分にようやく追加点を挙げる。右サイドから突破したイチが一 旦兵働にパス、これを受けた兵働がドリブルから再び裏に抜け出したイチへスルーパス、イチがそのまま上がって相手DFを引き付けたところへマイ ナスのパス、これを走りこむ兵働がゴールポスト内側を叩くシュートを決めて4点目。これで試合を終えた。

 思わぬ大勝となったが、内容としては序盤は相手に決定的なピンチを作られたし、決定力不足を露呈した。強いチームならばこういう試合を8-0ぐ らいできちんと得点に繋げているし、そういう事ができない点ではまだまだなのだろう。ただ、昨年から取り組んできたフィジカルトレーニングの 蓄積がこの夏の厳しい連戦の中で対戦相手との差として表れてきている気がする。特に中盤はテルを筆頭に枝村、兵働の運動量でFW、DFを繋ぎとめ 分厚い攻撃と分厚い守備へと結びついているのではないだろうか。その中で今日のMVPは合計3点に絡んだ兵働であろう。前半の相手DF裏への飛び出 しから相手GKが弾くほどの強烈なシュート、そして後半の2本の正確なシュート、中盤の選手らしくない決定力を見せてくれた。それ以上に大きいの は彼と枝村の突破によって味方のDFの上がりを引き出している点であろう。兵働が操る形でイチの右サイドの上がりをうまく引き出し、その結果が4 点目に繋がるなどたった2人で相手のたくさんのDFを翻弄していた姿は見事だった。そういう点では同じように枝村も左SBの山西をうまく操り、自身 も正確なミドルシュートで3試合連続ゴールを決めるなど相変わらずの好調だった。
 なかなか点が取れないFW陣も今回はマルキーニョスがGKのこぼしたボールとはいえ、久々に得点を挙げたのは明るい材料だ。また矢島も体格を活 かしたプレーだけでなく確かな足技で次々にチャンスを作っていた。後は得点だけなのだが、今回はシュートがことごとくGKの正面、がむしゃらな プレーで気持ちは凄い伝わってくるのだがやはりFWなんだから決めるところで決めなくては厳しいポジション争いの中で脱落してしまう。今はどん な形でも彼にはゴールを決めて欲しい。守備陣も結果として無失点で終えた事は良かったが後半は危ない場面が多かった。3点のリードで気を緩んだ わけでもないが簡単にシュートを許すなど球際の弱さは今後の上位陣との対戦では命取りに繋がる。この日の大勝はいろいろ積み重なってたまたま 出た結果であると認識して再び気を引き締めて欲しい。

 さて、今回はクラブもFUJIYAMAダービーと銘打ち、相手サポーターもたくさんかけつけ、また夏休みという事で日本平も久々に15,000人を超えて いた。やはりこれだけの人数になると日本平も盛り上がる。普段からこれぐらい来てくれれば言うことないが、こういう状況でちゃんと結果を出し た選手は見事。後はこれを見たお客さんがまた来たいと思わせるようにクラブが努力しなくてはいけないし、サポーターも来たいとか見たいと思わ せる応援をしていく事が重要だ。試合後に甲府サポーターの一部がスタンドに居残り、かっての清水の指揮官でもあった大木監督への抗議行動をし ていたが、2試合連続の大敗への怒りは分かるが、魅力的なサッカーでJ2からJ1へ昇格させた甲府にとっては恩人とも言うべき人に随分短絡的な行動 に映った。結果は4-0だが、個々の差であって実際清水が圧倒的に攻められていた部分もあった。敵のサポーターの見る視点と当の本人たちの視点で は違うと思うが、このサッカーでJ1の舞台へ上がり、このサッカーで次々に旋風を起こしたのなら最後まで信じる気概はないのだろうか?昨年の我 々も本当に危険な状況であったが最後まで監督と選手を信じて結果生き残った、そして今では信じられない活躍をしている。サポーターとしての本 分を超えた行動が目立ちだしている昨今のサッカー界、まずは人を信じてやり尽くす事がまだまだあるはずだとその光景を見ながら思った。

 夏の連戦はまだまだ続く。休む間もなく4日後にはアウェー大分での試合だ。同じような順位の相手、しかもリーグ戦では一度も勝っていない土地。 この厳しい状況にサポーターとして出来ることは駆けつけて信じるのみ。みんなで闘いましょう。



上々の折り返し。

2006.08.12(SAT)
2006 J-LEAGUE DIVISION-1 17th LEG
vs SANFRECCE HIROSHIMA
2-1 WIN
at HIROSHIMA BIG ARCH STADIUM(HIROSHIMA)


 エースを欠いて苦しいはずのチームを全員でカバーし広島ビッグアーチでは10年ぶりのリーグ戦勝利を飾った。これで34節の半分を終了し、 全チームと一通りの対戦を終えた。連勝、連敗、いろいろあったけど試合を重ねる度にチームはたくましくなっている。その様子を見るにつけ、 上々の折り返しではないかと思う。

 まだ陽が落ちきらない残暑が厳しい状況で試合は始まった。試合は序盤から清水ペース。両サイドを中心にチャンスを作り、中央からは枝村の 突破やパスからチャンスも生まれる。15分には枝村のスルーパスを受けたマルキーニョスが惜しいシュートを放つなど終始圧倒する。広島も好調 のFW佐藤寿人を中心にカウンターを狙うが、青山と和道がカバーしあって簡単に突破を許さない。その後も次々にチャンスを作る清水だが、マル キーニョスのシュートがなかなか枠に行かない。攻め続けながらも決めきれない嫌な展開のまま前半を終えた。
 そして迎えた後半開始直後、46分に矢島のポストプレーからチャンスが生まれる。左サイド前線に出されたロングフィード、裏に飛び出した矢 島が広島DF中里と競り合いながらもキープして後ろから走り込む淳吾にパス、それを淳吾がダイレクトシュート、これは相手DFに当たるが右サイ ドに流れたこぼれ球を拾ったマルキーニョスが折り返しのクロス、これを枝村が意表をつくトラップで相手GKをかわして無人のゴールへ流し込ん で先制する。こうなると試合の行方は一気に清水へ、左サイドから淳吾や矢島が徹底して不安定な広島DF中里に勝負を挑みチャンスを作る。ここ から何度もチャンスが生まれるのだが、矢島のポストプレーからマルキーニョスのシュートは相手GKに抑えられ、淳吾のゴールライン際から切れ 込むドリブルからがら空きのファアサイドにいたマルキーニョスへのラストパスからマルキーニョスが放ったシュートもゴールポストに嫌われる など徐々に嫌な流れになっていく。
 一方の広島は60分にはDF盛田とMFベットを下げてDFダバツとMF李漢宰を投入する。そして72分、清水がパスミスした球を広島に繋がれて右サイ ドからMF駒野がニアサイドにアーリークロス、これをFWウェズレイが叩きつけるヘッド、これが決まってしまい同点に追いつかれる。それでも直 後に試合の行方を決定付けるプレーが起きる。75分、西部がボールを掴んで素早くロングスロー、これに反応していた矢島が突破しようとしたと ころで再三狙われていた広島DF中里が矢島を倒してしまう。68分に同様のプレーで淳吾を倒し警告を受けていた中里はこの日2枚目の警告を受け て退場。数的有利になった清水が再び突き放したのは直後であった。
 78分、矢島の突破から得た相手陣内深く左サイドからのスローイン、これを繋いで一旦後ろに戻したところで山西がクロス、これに広島守備陣 がDFとGK下田が交錯して裏に流れたボールをマルキーニョスが折り返し、これを枝村がヘッドで押し込み1点目と同じような展開で広島を突き放し た。しかしこのプレーで枝村は怪我をしたようで79分には浩太と交替する。またシュートこそ決められなかったが動き回ってチャンスメイクした マルキーニョスも81分には久保山と交替する。この交替以降も数的有利の清水は高い位置から相手を追いかけてチャンスを作る。88分には淳吾を 下げて純平を投入するなど、いつもの守りを固める采配をする事もなく試合は清水が追加点こそ奪えなかったが逃げ切った。

 苦手の地、広島でも力で相手をねじふせた試合内容であった。ボールも人もよく動き、その結果ホームであるはずの相手を守備的な戦いに押し 込む事ができた。今日のMVPは2試合連続になるが枝村であろう。2点ともゴール前に詰めていて押し込むだけの簡単な得点に見えるがあそこにいる という事こそが重要。ゴール前でのポジショニングで何度も惜しいシーンを逃している清水にとってはああいう泥臭いゴールこそがある意味いい ゴールに思える。また前節同様中盤で幅広く動いてチャンスメイクをしていたし、U-21日本代表として中国遠征をした経験をちゃんとクラブでフ ィードバック出来ている。青山にしてもそうだけど、こういう経験は疲労も出るがそれ以上の貴重な経験を手にするという事を改めて実感した。 また枝村の活躍に隠れているが矢島の頑張りも目立っていた。ジェジンの負傷で急遽抜擢されたが持ち前の当たりの強さと体格に似合わないスピ ードで広島DF陣を振り回してポストプレーをこなしていた。それが結果として相手DFの退場に繋がったと思う。後はシュートを打つ意欲、どんな 体勢でも常にシュートを狙う意欲さえ高まれば自然とゴールも増えるはず。
 守備陣も広島のFWウェズレイ、佐藤寿人に対してよく体を張っていたいと思う。唯一といっていい味方のミスから素早く決められた失点はチー ム全体の今後の課題としても、それ以外は決定的なピンチは数少なかった。青山がやや疲労からか危ないプレーを見せていたが、それを今回は和 道がよくカバーしていたと思うし、両サイドのイチと山西にしても集中していたと思う。両サイドに関してはそれだけじゃなく、相手の裏を狙っ て突破して相手のサイドを押し込んでいた。あとはチーム全体として苦言を言うとすれば決める時に決めないと今日のように一時的ではあるが苦 しい試合になってしまうという事を分かって欲しい。今日の試合はちゃんと決めるところを決めていれば圧勝の試合でもあった。それが出来ない 点はまだまだ甘いという事。

 サポーターも今日は遠い広島という事で心配されたが意外にも多く駆けつけていた。お盆という時期で帰省ラッシュの中で巻き込まれ、オフィ シャルバスツアーや個々で車で駆けつけたサポーターがかなり遅れ、試合開始にも間に合わないサポーターがいるなど大変な状況だったがそれで もこういう苦労をした中で駆けつけただけあってみんなの気持ちと声がよく出ていたと思う。ホームも大事なんだけどこういう遠隔地に駆けつけ てこそ面白いもの。そういう苦労を選手が勝利という形で返してくれただけでもう充分だ。一方、心配なのが相手広島のサポーター。事情はよく 知らないけどホームゲームだというのに応援団体が2つに分かれて去年のリーグ最終戦から状況が変わっていないようだ。どういう意図かは分から ないけど、少なくとも周りの方や相手サポーターから見れば分裂しているだけ。本当に大事なのはチームを愛する気持ちなはずなのにあれではた だでさえ盛り上がっていない状況に拍車をかけるだけ、こういうのを清水は反面教師としてみんな一丸になって欲しい。34試合のリーグ戦のちょ うど半分を終えて首位とは勝ち点5差の5位。ここ数年のどん底の状況からすれば上々の折り返し。ここから浮上するか落ちていくかは選手、チー ムだけでなくサポーターの力も絶対関わってくる。まだまだ長い道のりの半分、もう一度気を引き締めて次の聖地日本平に臨もう。